私が普段身につけているお気に入りの腕時計です。

金沢で手作りの時計を制作しているC-Brainさんが、
伝統的な素材や技法を用いて作る
『はなもっこ』のこないろシリーズ。
その文字盤には、岩絵具が塗られています。
天然石を砕いて作られるこの顔料は、
飛鳥時代から素材や技法が変わることなく
受け継がれてきました。
私が選んだのは群青。
約1400年以上の歴史を持つこの色は、
古墳壁画や絵巻物にも使われてきました。
天然の岩絵具ならではの美しい色彩。
粗い粒子が生み出す、
ザラザラとした質感と光の煌めき。
それだけではなく、
岩絵具の下地には手漉き和紙が使われ、
目盛りには故郷・金沢の金箔が貼られています。
時間を確認するたびに受け継がれてきた
歴史や伝統を感じ、
胸の奥が満たされるような気持ちになります。
そして、素材一つひとつの背景を通じて、
「愛着を持って、永く大切に使い続けてもらいたい」
という想いが伝わり
心が温かくなります。

これは、私たちの家づくりにも通じるものがあります。
その土地の風土に合わせて、
長年培われてきた技術や知識を活かしながら、
設計士、施工監督、職人…携わるすべての人が
「愛着を持って、永く大切に住み続けてもらいたい」
という想いを込めて形にしていく。

日常に溶け込んだ景色から
込められた想いをふと感じていただけたら嬉しいです。

