先日、岐阜県関市にある後藤昭夫藝術館を訪れました。
設計は杉下均さん。
芸術家・後藤昭夫氏の絵画や、
ゆかりのあるアーティストの作品を
催事期間中のみ展示する美術館です。


館長の後藤さんいわく、
建物が完成してから企画展の度に
建築家の杉下さんが訪れ、
何をどのように展示をすると良いかを
一緒に考えているとのこと。
例えば、今回訪れた際の展示品の中に
掛け軸の展示がありましたが、
白い壁に白い掛け軸を展示すると
印象がぼやけてしまうため、こんな工夫がありました。

掛け軸の下部には黒い布を敷き
上部には黒く塗った桐材を自作して取付けることで
作品を引き締める、といった展示の仕方です。
建物を設計し、完成した後も一つ一つの作品に向き合い、
自ら行動をしている姿勢に深く感銘を受けました。

AIが普及するにつれて、
良くも悪くも「考える」という工程が
減りつつあるように感じています。
一方で、杉下さんの展示に対する工夫は、
AIに出来ることなのだろうか、とも思います。
私は、設計士の仕事とは、
世の中にあふれる情報の中から何かを選ぶだけではなく、
お客さまや敷地と正面から向き合い、
その時直接目や耳で感じた事を頼りに
「最善な答えを考えつくすこと」だと思っています。
私たちが人として何が出来るのか、何をすべきなのか
改めて考えさせられる出来事でした。

