玄関に立つとき、庭を歩くとき、
足もとにひとつの石があるだけで
空気が少し変わります。

一見無機質に見える石は、
光や雨、季節のうつろいによって表情を変え、
住まいの時間を静かに映し出します。
木や土と同じように、
長く寄り添うことで家の一部となり、
暮らしに穏やかなリズムをもたらしてくれます。

実用のための踏み石やアプローチでありながら、
その佇まいが空間に“間”や“静けさ”を生み出す。
自然と建築のあいだをやわらかくつなぐ存在。
それが石です。

硬さの中にやさしさを宿し、
時を経ても変わらぬ美しさを保つ。
表面のざらつきや色の濃淡には
自然がつくり出した偶然の美があり、
そこに触れるたび、人の手では生み出せない
安らぎが広がります。

石を住まいに迎えるということは、素材を選ぶ以上に、
その家が時を重ねていく姿を思い描くこと。
変わらないものの中に、
静かに移ろう時間の豊かさを見つける——
それが、石のある暮らしの魅力です。

このような図面では描きづらいことも
大切に設計しています。

