街の響きがそっと遠のく、淡い空気の流れる地。
人工物を造ることがもったいなく感じるほどの、
山から山を望む風景。
そんな土地にはどのような建築が建つべきなのか。
その答えを模索するべく、
似た空気の漂う建築を訪ねました。

猪名川霊園の新礼拝堂・休憩棟。
設計はデイヴィッド・チッパーフィールド。
2023年にプリツカー賞を受賞したイギリスの建築家です。
場所は兵庫県川辺郡猪名川町。
街の気配が消え、山あいの静けさを感じる
霊園に佇んでいます。


斜面に寄り添うように建ち、
昔からあったかのような空気と
静けさが特徴的な建築。
素材は素朴でかたちは控えめ。
人工物ではあるけれど、自然に逆らわず、
むしろ風景の余白を広げるためにそっと置かれたもの。
建築を通して切り取ったフレームの先には
より静かな景色が広がり、
訪れた人の心をそっと整えてくれるようでした。


この空気に触れたことで、
私が向き合う土地にも
答えの輪郭が少しだけ見えてきた気がしました。
雪の降る冬の景色でしたので、
次は春に訪れてみたいです。


