2024年の秋に自邸を建て、
新しい暮らしが始まりました。
住み始めたばかりの頃は、まだどこか落ち着かず、
「自分の家なのに少し距離がある」ような、
そんな不思議な感覚を抱いていたことを思い出します。


それから一年。
季節がひと巡りし、
光の入り方や風の通り道、
時間とともに変わる室内の表情を日々体感する中で、
この家が少しずつ暮らしに馴染んできたように
感じています。

実際に住んでみて強く感じるのは、
数字や性能だけでは表せない心地よさです。
冬にはやわらかな光が家の奥まで届き、
初夏には澄んだ空気が静かに流れ込む。
夕方、室内が夕日に染まるひとときも、
特別なことは何もないのに、
心に残る大切な時間になります。

こうして暮らしを重ねる中で、
住まいの心地よさは完成した瞬間ではなく、
時間とともに育っていくものだと
改めて感じるようになりました。

光や風、季節の巡りにふと気づく瞬間は、
日常の中で静かに訪れます。
設計に携わる者として
そうした暮らしの実感を大切にしながら、
住まう人それぞれの時間にそっと寄り添う
そんな住まいを考えていきたいと思います。

