ひとつの建具
2017.3.20
建具について皆さんはどんなイメージを持っているでしょう。
空間と空間を仕切るもの、またはそれを繋ぐもの
空間のアクセントになるもの
壁の一部のように部屋に自然に溶け込むもの
様々なイメージや役割があると思います。
その建具について最近ふと思うことがありました。
先日、リフォーム中の実家に帰った時のことです。
壁、キッチン、窓が新しくなっている中で、以前の状態のまま残っているひとつの建具がありました。
その建具を見た時、今まで住み慣れた実家での暮らしが思い出されました。
普段何気なく触れていた取っ手の感触
遊んでいて一部ガラスを割ってしまったことやレールからはずれて直したこと
普段からよく手にすることで様々な思い出を残してくれました。
自分が生まれた頃からあるこの建具は、長い年月を共に過ごしていくことで自分に馴染み、
思い出のつまった大切なものになっていたことに気がつきました。
建具ひとつとってみても、場所や使い方が変われば、デザインや素材が変わってきます。
奥に見える光を感じたいとき
取り込む光を調整したいとき
目立たせず壁のように見せたいとき
部屋と部屋を緩やかに分けたいとき
それぞれの場所に応じて、それぞれの役目を果たす必要があります。
私たちはいろいろな建具を提案していますが、ただそこにあるだけのものではなく、
家に馴染み、家族にも馴染む、そんな建具をつくることで、
そこに住む家族みんなにとって大切な存在になってほしいと感じました。
by Yokoyama