人生フルーツ

2019.10.11

以前「人生フルーツ」という映画を観ました。
建築家で元大学教授の津端修一さん(90歳)と
奥様の英子さん(87歳)の日常を追った
ドキュメント映画です。
 

 
場所は愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウンの
一角。
300坪の敷地には平屋建てと広大な畑と雑木林、
ご夫婦はそこで70種類の野菜と50種類のフルーツを
育てておられました。
 
修一さんは現役時代数多くの団地の建設、都市計画に
携わってきました。
自然と共存する街を目指し、
里山や川の流れ、風の流れを感じられる街づくりを
したかったのですが、時代は高度経済成長期。
開発のために山は削られ、谷は埋められ、広大な土地に
同じようなコンクリート造の建物が
たくさん立ち並ぶ
団地になってしまいました。
一人ひとりが小さな雑木林を育てれば、里山を
取り戻せるのではないかと考え、
高蔵寺ニュータウンに
家族で移り住み、長い時間をかけてキッチンガーデンを
つくりはじめました。
 
「なんでも自分でやってみると、
見えてくることがある」
その言葉の通りご夫婦の生活の中には手作りのもの
ばかり。
たくさんある作物には、場所が分かるよう
黄色くペンキ塗りされた立札。
全て修一さんの
お手製でイラストも描かれています。
 

 

 
手間ひまかけて作った野菜や果物は、英子さんが
時間をかけて料理され、
大事な人におすそわけし、
相手を想って丁寧に手書きのはがきを送る。
ゆっくり時間をかけ、丁寧な暮らしを大切にしながら
生活されている姿が映っていました。
 
もちろん全ての人がこういった生活に向いている
わけではありません。
時間の効率、利便性、手軽さをお金で代替することは
忙しい現代人にとっては必要なものです。
しかし、その代償として、見えない豊かさを
失ってしまっているような気がしました。
 
食卓に花を飾る、手作りする、
季節の食材を取り入れる…
ほんの些細なことですが、無理せず楽しく、
普通のことに時間と手間をかけられる心の余裕こそが、
豊かな暮らしにつながるのではないかと思います。
より良い人生とは何か、本当に大切なものとは何かを
教えてもらったような気がします。
 

(引用元 http://life-is-fruity.com/)
 
by Yamazaki