60年の重み

2024.4.26

 
浜松にある木材屋さんに見学に行きました。
住宅で使う柱や梁に加工する前の状態を見学し、
改めて自然の恩恵と先人方の未来に対する思いを
感じることができました。
 
浜松の近くには、3大人工美林のひとつに数えられる
天竜杉の森林が広がっています。
苗木の状態で植林をして、
柱にできるまで成長するのに、
60年から70年はかかるといわれています。
梁と呼ばれる材料にするにはもっと時間がかかります。
 
よって、林業に携わっている方は、
自分の植えた苗木が成長して、柱や梁になる姿を
ほぼ見ることができないそうです。
今、柱にできる木材は、
60年70年前に植えて頂いた先人方のお陰であり、
太陽、雨、土壌、風と数多くの自然の恩恵の上に
できた貴重な資源だということになります。
 

 
ある日、その材木屋さんが90歳を超えるご老人を、
完成した住宅にお招きしたそうです。
ご老人は
「自分が植えた苗木が、柱になっている姿をみる日が
来るとは思っていなかった」
と涙を流されたそうです。
 
製材されたもの、もっと言えば図面上の柱や梁は、
その年月の重さを直接感じにくくなってしまいます。
 

 
今現在の願いや思いに応えながらも、
次の世に思いを馳せながら、
苗木を植えた先人方が見ても恥ずかしくない、
住宅建築を設計しなければと、あらためて思いました。
 
Hatakeyama