「ずっと居たい」と思える家

2025.7.18

先日、お引渡しを終えたばかりの
お施主さまにお会いしました。
久しぶりに打合せのことを懐かしく振り返り、
新しい住まいで畑に挑戦しているお話など、
楽しい時間を過ごしました。
 
「ずっと居たいと思える家です」
そんな言葉をいただき、本当に嬉しく、
設計に携わった者として何よりの喜びでした。
 
設計を始める前
お客さまとのヒアリングで、
こんな言葉をいただいたのを今でも覚えています。
「老後になっても二人で縁側に座って
季節を感じながら過ごしたいんです」
「朝は光の入る場所で、
気持ちよくお化粧ができたら」
「庭には木を植えて、
四季の変化を愉しめる暮らしが理想です」 ・・・
 
そんな一言一言から思い描く
「時間の流れ」や「暮らしの景色」が
浮かんできました。
 
家という「もの」をつくるのではなく、
そこで過ごす時間や空間をどう育てていくのか。
そんな想いが、わたしのなかに
自然と芽生えていった瞬間でもあります。
 

 
住宅設計に携わり始めたころのわたしは、
住宅の良し悪しを見た目やデザインなど、
見える部分で8割ほど判断していたように
思います。
 
今では、住宅とは「もの」としてどうかというよりも、
そのお家で過ごす「時間」がどう感じられるかが
大事になりました。
 
ただただ「ずっとここに居たい」と思えて、
何もしなくてもそこに居るだけで心が満たされていく、
そんな時間をかたちにすることが
設計だと今は思っています。
 

 
ついつい頭で考えてしまうことが多く、
形にあるものや目に見えるものを基準に
考えてしまいます。
 
でも、心地いいと感じるときは、
頭よりも心で感じることが多いと思われます。
 
感覚的といわれるかもしれませんが、
お客さまとの対話や、
敷地を訪れたときにふっと浮かぶ情景。
そんな素直な気持ちや直感が、
設計にとって大切な道しるべだと思っています。
 
Kurachi