2025.8.15

私はよく空を見上げます。
流れる雲を眺めていると、心がすっと落ち着き、
穏やかな時間が流れる豊かさを感じます。
 

ふと思いだすのは幼い頃です。
座れる場所を見つけては腰を下ろし、
ただ空をぼんやり眺めていたあの時間。
言葉にしづらいけれど、その静かな心地よさは
今でもはっきり覚えています。
 

 
そんな空にはさまざまな呼び名があります。
 
春の空は「春晴れ」や「澄空」。
夏の空は「晴天」
朝になれば「曙」や「東雲」、
夜だと「宵空」ともいうそうです。
 

 
その中でも私の好きな空は、
「秋茜」という空です。
紅葉と夕焼けの茜色と朱色が重なり合い、
優しい温もりを届けてくれる一方でどこか切なさが混じり、
季節の移ろいを感じさせてくれるそんな秋の空です。
 
時間、季節、気候などで
少しずつ違う表情を見せてくれる空だからこそ
私はいつも空を見上げたくなるのかもしれません。
 
住宅の設計においても日々の変化に
目を向けてほしいと思います。
朝の白く清々しい光。
秋の紅葉が鮮やかに色づく様。
雨でしっとりと濡らした土の匂い。
時間、季節、気候の互いが作用することで
一度として同じものはなくなり
その一瞬が特別に思える。
そんな特別に目をむけてもらえるように
私はご提案しています。
 
Kawai