曖昧な
2019.5.17
古くから日本人は、曖昧なものに心を打たれ、
美徳と考える文化があります。
その一つに「境界」があります。
一般的に境界とは、建築分野で言うところの
敷地の境界や空間とを区切る壁などがありますが、
今回は「曖昧な境界」をテーマにしてみます。
皆さん、今までに神社に行かれたことが
あるかと思います。
神社に行くと境内に入る手前に鳥居があります。
鳥居は、神の住まう領域と私たちの住まう
俗世を区切る境界の役割があります。
決して壁などで分かりやすく区切るのではなく、
柱や笠木など敢えて少ない要素で
こちらと、
そちらを繋ぐことで、曖昧でありながらも
神聖な場所であると私たちは感じます。
この「曖昧な境界」は特別なものではなく
私たちの身の回り、皆さんのすぐ近くにも
あるかもしれません。
私は、「曖昧な境界」が緩やかに
場所と場所を繋ぎ区切ることで、
一続きの空間に異なる表情や空気感が
生まれると考えています。
最小限の壁や段差で空間を分ける。
時には異なる素材同士で空間を分ける。
皆さんもぜひ曖昧な境界を探してみてください。
一歩入れば、そこは違って見えるかも
しれませんよ。
by Shinada