建築とシナリオ

2020.6.19

みなさま、ご自宅ではいかがお過ごしでしょうか。
自宅で過ごす時間をせっかくならば楽しもうと、
本を買ってみました。
 

 
「カルテット」というドラマが好きだったので、
そのシナリオがどのように作られているのか
興味を持ち手に取りました。
4人の人たちが軽井沢の別荘で楽器を弾いて
暮らしているというお話ですが
“つくられた物語”ではなく、まるで日常がそこに
あるかのような自然体の会話が面白く、
登場人物の生々しさを魅力に感じていました。
 
脚本家の坂元さんは、キャラクターの過去や
バックグラウンドは最初から設定があっても、
その人がどういう人なのかはセリフを書きながら
徐々に輪郭を見つけていくという書き方を
されるそうです。
最初からはっきり断定させないために、名前を
つけるのもだいぶ後になってからが多いんだとか。
 
なるほどなぁと思うと同時に、
一つの例えばなしを思い出しました。
 
「建築現場を映画撮影に例えるならば、
現場監督は映画監督、職人は演者、
そして設計士は脚本家である」と。
たしかに、似ているところがあるかもしれません。
 

 
プランニングをするときも「こうあるべきだ」と
決め打ちで進めるのではなく、
デッサンで輪郭を
描くように少しずつ形を探っていく。
そこで展開される暮らしを想像しながら。
その丁寧な過程が良い家づくりに繋がると信じて、
建築のシナリオ構成を探求したいと思います。
 
Ogawa