無いことの豊かさ

2020.11.27

先日、豊田市美術館で
素敵な展示を鑑賞することができました。
 
久門 剛史 – らせんの練習

 
日常にある身近な現象や音、
光などをもちいて作品をつくるのが特徴的で
そこには日常にありふれている
景色やモノへの敬意が表れていました。
例えば、作品の色は素材本来の色をそのまま使ったり、
電気のケーブルは隠さずそのまま見せていたりします。
 
それらが表現したい現象や空間のために、
雑味を削ぎ落とし、丁寧に組み立てられると
私たちが普段から見慣れている日常の現象が
違った見え方をしていきます。

 
これらの作品には、私たち鑑賞する側の
想像をかきたてる余白が残され、
多くの情報はなく、シンプルで整然としていて
ひとつの事象とじっくり向き合うことができました。
情報過多で、表層的な知識を得て知ったような
気になってしまいがちな現代社会に、
自分の目で確かめ、ひとつのものに向き合い
想いをめぐらせることのできる豊かさを
あらためて気づかせてくれた良い体験でした。
 
多いことももちろん豊かなことですが、
少ないことは私たちの脳みそを豊かにしてくれますね。
 
Kimata