土地から導く住まいの形
先日お引き渡しさせていただいた
八角形の家をご紹介します。
敷地は名古屋の中心地からは少し離れた住宅地で、
緩やかな坂を登り切ったところに位置しており
一帯の土地は綺麗に区画されており両隣、
そして裏も計画地の正面に家が建つような土地です。
また法規制の影響で延床面積は最大で23坪弱、
名古屋市の定める高さの制限も厳しく、屋根形状も
寄棟屋根に限定されるような制約の多い土地でした。
プランを考えるために
敷地をぐるぐると歩き回っては立止まり
様々な角度から周辺環境を観察していくことで
規則正しく並ぶ周囲の建物の隙間から
高台ならではの景色が広がっていることに
気づきました。
この気づきがこの八角形という形を
導いてくれたように思います。



一見気を衒った(てらった)ようにも思われる形を
していますが、
八角形にすることで
陰影の濃淡がグラデーション状に変化し
壁が奥へと続いていく印象を与え、
23坪弱という制限のある大きさを感じさせないような
広がりを持たせてくれたように思います。
また斜めの壁面には窓を設けることで、
隣り合う建物同士の間に窓が位置するようになり、
高台ならではの景色を
望むことが出来るようになるとともに
生活空間から隣の家の気配が感じづらくなります。
この敷地だからこそ出来上がった形だと思います。


提案した時はお施主さまも少し驚いた様子でしたが、
しっかりと設計の意図をお伝えすると
すんなり受け入れていただき
逆に驚いたことを覚えています。
建物だけでなく造園の植木は三重県まで一緒に足を運び
樹形を見ながら選んでいただきました。
こうやって自分で選ぶと愛着が湧きます
と言っていただき
より一層思い入れのある住まいが
出来上がったように思います。


完成したばかりの住まいなので
暮らしの様子はまだ伺えていませんが、
打合せの中で聞いていた
お施主さまの素敵な暮らしとこだわって選んだ植木が
土地と住まいに馴染んでいくことを
楽しみにしたいと思います。
Mori