影という光

2025.9.12

「光」というキーワードに焦点を当てた話や
コラムはたくさんあります。
けれど、光があれば必ずそこには
「影」も生まれます。
今回は、そんな影について私が日々感じていることや、
ふと考えることなどを少し綴ってみたいと思います。
 

 
影というと、皆さんあまり良い印象は
持っていないかもしれませんが、
私は住まいを作っていくときに、
影はすごく重要な要素の1つだと思っています。
 
当たり前のことですが、
光は影が存在するから、光を認識します。
逆も然り、光が存在するから、
影を認識することができます。
つまり光のそばには常に影があり、
光と影は切っても切れない関係性です。
 

 
例えば全く光がないところであれば、
何も見えず影自体を認識することはできません。
(これは影ではなく真っ暗闇ですね)
そのため、光があるところでしか
影が認識できないため、
「影という光」を認識しているのだと
私は思っています。
 
また、影は人の感情を豊かにしてくれる
現象だと思います。
仮に均一的な光によって影のない空間が
あったとします。
そこでは、全てが均一で変化がなく
のっぺりとしており、
面白みがない空間
ではないかと思います。
影があるからこそ、物理的な奥行きだけでなく、
心理的な奥行き感が生まれ、物事や空間に深みを
生み出しているのだと思います。
 

 
そのため、住まい設計をするときは
様々なことを考えるのですが、
その中のひとつである光や影について
考えるときには、
いかにしてどんな影の表情を
作り出すかを考えています。
 
Masuda