旧中埜邸

2015.7.13

日本の住宅に「洋風」の形式を取り入れはじめたのは明治時代に入ってからのことでした。

一部の上流階級層が従来の和風住宅に「応接間」という形で洋風間を取り入れたのがきっかけで、

以降明治末期の頃には中流階級層まで一気に「洋風化」のブームが広がりました。

 

はじめは純和風住宅の中の一間に過ぎなかった洋風間ですが、

洋風化の浸透によって和風間が縮小していき、

やがては外観も洋風になり和風間は洋館の一部となっていきます。
その頃の洋館を1つご紹介します。
明治末期に建てられた 旧中埜家住宅 です。

1階部分はすべて洋風の造りになっています。
今は紅茶専門店の店舗になっておりますが、当時の家具などが残されています。
(現在修復作業のため営業しておりません。)
漆喰装飾の高い天井に深い青の壁、扉や窓は本格的な洋風の内装で見応えがあります。

 

打って変わって2階は畳敷きの和風間となっております。
洋風化のブームが広まったとは言え、当時の冠婚葬祭はまだまだ和様式が主流でした。
そういった日本の文化に合わせて日本独自の、和風間を残した洋館が出来上がったのです。

 
明治時代の洋館には、現在の住宅デザインのルーツやヒントがたくさん隠されていると思います。

 
何と言っても雰囲気がとても素敵なので、是非お近くの洋館を調べて訪れてみてはいかがでしょうか。

 

by  Kikuchi