景色窓、光窓

2019.6.7

建築設計という仕事に携わっておりますと
日頃から建築を訪れる機会が多くなります。
その中で、窓について考えていることを
お話ししようと思います。
 
窓には採光や通風を確保し、視覚的に外部との
繋がりをもたせ、
内部空間をすごしやすく
豊かにする役割があります。
建築を拝見するとき、窓を視覚的な役割で
分けて考えており、
それらを私の中の造語で
「景色窓」と「光窓」と呼んでいます。
 
 
景色窓として
パリ市郊外に建つル・コルビュジェ設計の
サヴォア邸が印象に残っています。
 
サヴォア邸と言うと、
宙に浮いた白い箱のようなシャープな外観
1階がピロティになっていて2階にリビング、
特徴的な水平連続窓、
そして屋上庭園・・・
として語られるコルビュジェの名建築です。
建築に興味がある方はご存知の方も
いらっしゃるかもしれません。
 

 
印象深かったのはこの水平連続窓ではなく、
屋上庭園の北側に向けて空けられたコチラの窓。
 

 
1階のピロティから上がって、
屋内をぐるぐると移動させられ
(平面計画が動的に計画されているためです)
最後に行き止まる屋上庭園をぐるっと囲う
白い壁に
まるで風景画が飾ってあるかのように
質素にあけられていました。
 
この窓のことをコルビュジェは
「ピクチャーウィンドウ」と名付けています。
 
視点によって豊かな自然と空が見えたり、
パリの街が一望できたり
質素な開口が切り取る
絵画のような景色の変化に感動したことを
今でも覚えています。
 
 
つい最近拝見した建築では、京都修学院離宮の
窮邃亭(きゅうすいてい)や
長野県にある
八ヶ岳高原音楽堂も印象的な景色窓でした。
 

 
日頃体験した建築の良さを素直に取り入れ、
設計力を磨いていきたいと思っています。
 
次のコラムは
コルビュジェが設計したロンシャンの礼拝堂にある
「光窓」の方をご紹介します。
 
by Kikuchi