はじまりにたずさわる

2019.6.28

家づくりは複雑です。その複雑さに大事なことを
忘れそうになります。
そんなときに思い出すお話が
あります。それは「つみきのいえ」といいます。
 

 
この町では海の水がだんだんと上がってきます。
水が上がってきて住めなくなると、屋根の上に
新しい家をつくります。
夫婦ふたりの家からはじまり、家族が増えると
それに合わせて大きな家をつくります。
お子さんが家を出ると、また夫婦ふたりの家を
つくり、最後にはひとりの家をつくります。
 

 
ある時、ひとりになったおじいさんは
大切な大工道具を水の中に落としてしまい、
潜水服をきて下の家に取りに行きます。
昔の家々を巡りながら、その家ごとの思い出を
回想します。
そして、最後にはおばあさんと
結婚したときに建てた小さな家にたどりつきます。
 

 
家はそこに住む方の歴史を刻んでいくものです。
だから、家づくりはその歴史のはじまりに
たずさわるとも言えます。
私にとって家ができる瞬間は、生まれたての
わが子をはじめて抱っこした瞬間に似ています。
はじまりにたずさわれるというのは
何とも喜ばしいものです。
その喜びを胸に
家づくりに精進していきたいと思います。
 
by Shiota