ロンシャンの光窓

2019.10.25

四ヶ月程前に、「景色窓、光窓」というタイトルで
景色窓についてコラムを書きました。
その続きで、今回は私が今まで体験した中で素敵だな、
と感じた「光窓」についてお話しようと思います。
(※ 景色窓、光窓はともに私の中の造語でござい
ます。)
 
今回ご紹介する「光窓」も、建築がお好きな方は
ご存知かもしれません。
 

 
フランスとスイスの国境近くに在る、
ル・コルビュジエ設計の
ロンシャンの礼拝堂
(ノートルダム・デュ・オー礼拝堂)です。
 

 
厚い壁に様々な大きさ・奥行きで開けられた
プロポーションの異なる四角形の窓は、
太陽の位置により刻々と表情を変えてゆきます。
 

 
今見ていた窓から射す光の筋は、数分後には消え、
また別の窓から違った角度で射しこんできます。
 
この窓において重要なのが窓台の役割です。
斜めに掘り込まれた深い窓台がステンドガラスを
通した光を受け止めることで、
色をより鮮やかに、
そして光の陰影を際立たせています。
 

 
抽象画の様な幻想的な窓の壁とはうってかわって、
教壇は、天井から降りてきた光が曲面の壁を柔らかく
照らしていました。
 
光窓は、単に外からの明かりを取り入れる開口では
なく、
取り入れた光を受け止める窓台や、壁のかたち、
素材など、
さまざまな因果関係によって空間の情緒を
作る役割も持っています。
 
二回のコラムに渡って、景色窓と光窓について
ご紹介しました。
ネイエのお家はシンプルなデザインだからこそ、
窓の在り方を丁寧に検討して、考えていきたいと
思っています。
 
by Kikuchi