しつらい

2021.1.22

あまり日常会話では使わない
「しつらい」という言葉に興味があります。
意味を調べてみると、
ある催事のために部屋の飾りつけをしたり
調度品を整理したりすることだそうです。

 
私の祖父母の家では、
その「しつらい」が季節ごとに見られます。
梅雨が明け、日射しが強くなってきた頃に、
居間にある縁側には簀戸(すど)が
しつらえられます。
このとき居間には心地よい風が通り、
蝉の鳴き声が響き渡ります。
居間と外がゆるやかにつながったような
感覚になります。
 
それから秋となり冬に差し掛かる前には
簀戸が外され、雪見障子がしつらえられます。
窓際は寒いので窓の少し遠くから
雪見障子越しに雪が舞う庭を眺めます。
 
私の祖父母は、
次にくる季節を待ちわびるかのように
しつらいを変えて外との関わり方を
調整しています。
この生き生きとした暮らしぶりは、
住む人が少し家に手を加えることによって
生まれるのでしょうか?
私たち設計士が計画してつくれるようなもの
ではないような力強さがあり、
無力さをつきつけられる一方で
とても魅力的です。
 
Horikawa