みちのりを愉しむ

2021.3.5

路地がたのしい。
数年ぶりに京都を訪れたときに、
あらためて感じたことです。
旅にはいくつかの目的地がありますが、
その旅では、ホテルから目的地、
駐車場から目的地という、
街を歩くアプローチそのものが
歴史と情緒にあふれていて、
とても印象に残り、京都の奥深さを
再認識した次第です。
 
そもそも目的地までの到着の過程に、
最初から特に思い入れも
事前情報もないからこそ、
それが良かった時の衝撃が強い、
ということもあるのかもしれません。
 
(とくに最近は、目的地で見る光景は
出発前にインスタでベストショットを
さんざん見せられて、
既視感いっぱいだったりもします…)
 
ただ、概して、旅で感じる
そういったうれしい誤算は、
思い出として振り返った時に、
その旅全体の印象をとても良くしてくれる
ものではないでしょうか。

 
そんな経験を住宅におきかえてみると、
‘目的地へのアプローチ’は、
‘廊下’ なのかなと思います。
 
住宅業界では、すっかり悪者
(居住空間ではないのに面積を食う→
なるべくなくすことが良い!)
と言われてひさしい ‘廊下’ ですが、
たのしくて美しい廊下なら、
逆に、その住宅の品の良さや懐の深さを、
印象付けてくれるアイテムになるのでは
ないでしょうか。
 

 
床面積のすべてを居住空間として
うまくはめ込んだ合理的な住宅も良いですが、
あそびのある、懐の深い住まいを
つくってくれる ‘廊下’ の魅力が、
再認識されるといいなと思います。
 
Shimizu