小さなものから大きなものへ

2024.9.13

 
趣味で椅子を製作しました。
せっかくつくるならと思い素材も
ひとつひとつ選びました。
 
座面は柔らかく加工しやすい木材、
足元は頑丈なアイアン、背もたれは
曲げが容易にできるアルミと牛皮を選定。
少し要素の多い椅子となりましたが
素材の勉強にもなりとても楽しい工程でした。
 

 
苦労したことは
椅子がなかなか体に馴染まなかったことです。
今まで体感してきた椅子などを参考に用意した
図面が通用しないのだと痛感しました。
何度も自分で確かめ微調整の末、
ようやく体に馴染むものが出来上がりました。
 
数年が経ち、アイアンに錆が出たり、
木の色合いが変わったりと、
当初の素材選定や
経年変化が今となっては愛着あるものになりました。
 

 
「人一人が座る椅子」から
「様々な人がそこで生活をする住宅」へ、
ものが大きくなったとしても
人が使うスケールには変わりありません。
 
建築の中でも住宅は特に人との距離が近く、
建物に直接触れたり寝転がったりと、
常に人のスケールが大切なものだと日々感じています。
 
椅子を製作したときの感覚を忘れず、
お客さまと一緒にいろんなものを体感しながら、
お家づくりができればと思っています。
 
Inaba