実家のはなし
2018.1.15
私が設計の仕事をはじめた頃、漠然と持ちはじめた夢がありました。
それは、いつか私が設計した家を、大工である父に建ててほしいということでした。
そしてその「いつか」は4年ほど前、実家の新築というかたちで訪れました。
現在、両親と祖母がその家で暮らしています。
実家ということもあり、あまり設計に時間と手をかけられず、
「こうすればよかった」と思うところも多々ありましたが、
満足気に暮らしている家族の姿を見ているととても嬉しくなります。
また、いつも現場で「職人さんはすごいな」と思うのですが、
この家づくりでは父がものをつくりだす姿を間近で見ることができ、
「すごいな」と思い、何だか嬉しかったです。
とても貴重な、贅沢な経験をさせてもらえて、すごく幸せでした。
山の中の小さな平屋建ての家で、景色だけは抜群で、
室内から外まで伸びる、板張りの天井がポイントです。
先日、実家に帰ったときのこと。
父が外の軒天井の汚れを一生懸命ふき取っていました。
上を向いたままの作業で大変そうでしたが、
「うちの一番のポイントだから」ときれいに掃除をし、
終えると天井はぴかぴかになっていて、父も満足そうでした。
家を大切におもいながら、手をかけながら暮らしている。
それがとても嬉しくて、いつも感謝をしています。
by kumazaki