歳月

2018.9.14

先日1軒の住宅を無事お客さまにお引き渡ししました。

お客さまとたくさんの打合せをして完成した家はお客さまらしい家になったと思います。

 

住まいはご家族がそこで生活をすることで、完成すると思うのですが、

完成したばかりの家にはまだその生活感がなく、真新しさが残ります。

これからご家族で素敵な住まいに仕上げていただけることを想像しつつ、

長い歳月をかけてこの住まいはどう変化していくのかと思い、

ふと7ヶ月の息子と家族で今年の夏に行った京都旅行を思い返しました。

 

京都には歴史的な建物が数多く現存することは有名ですが、
枯山水や庭のある寺院を多く訪れました。

訪れた寺院はみな歴史のある木造建築で、改修をしながら、
中には建造当時のまま現存しているものがあり、
その歴史と使い込まれた素材の質感など、

新築の建物にはない特別感を抱くものばかりでした。

檜皮の屋根、無垢材の柱、梁、縁側の1枚板、土壁の塀、石畳、
今ではあまり使わない素材、使えない素材が歳月ともに人に使われ、
空間を特別なものにしていると感じました。

その旅行から3ヶ月が経ち息子の成長も目覚ましく、

今ではつかまり立ちできるようになり、

京都に行った頃に比べると部屋の中を動き回る範囲が広がりました。

夫婦2人だけだった頃のものの少なかったリビングは、

息子のために用意されたものでほとんど埋め尽くされています。

 

家族の成長とともに住まいは使われ方を変えていくことを、
身をもって感じつつ、旅行で感じた歳月とともによりよいものになっていく素材に魅せられて、
私が携わった住宅も歴史的建築物までとはいきませんが、

長い歳月とともにご家族の生活を豊かにしてよりよいものなっていくことを願い、

これから携わる住宅もお引渡しの日まで精一杯造り上げていきたいと思う今日この頃であります。

 

by fujikawa