「窓」の役割

2018.9.29

私たちが生活する空間に当たり前のようにある「窓」。

当たり前になりすぎて分からなくなりそうな「窓」が担う
私たちへの役割を考えてみたいと思います。

 

「窓」は自然の光を室内に取り込んで私たちに明るさをくれます。

また、「窓」を開けると風が入り込み、
私たちに心地よさを与えてくれて、
室内の空気を綺麗にしてくれます。

しかし、「窓」が私たちに与えてくれる、これらのことは
今では照明器具やエアコン、換気扇などの設備機器によって
全て人工的につくれるものです。

 

日本では現在のように照明器具が発達していなかった時代に、
暗がりの中から見出した豊かな暮らしや美に対する感性を「わび・さび」と言います。

その「わび・さび」を感じる瞬間に不可欠であったのが、
「窓」からの光によって生まれる陰翳や「窓」の奥に広がる自然でした。

ボタン一つで不自由のない環境を手に入れることができる現在に比べると、
決して豊かとは言えないかつての暗く狭い空間に開けられた
「窓」からの光や外の自然を拠り所に、
本質的な豊かさを生み出した日本人にとって
「窓」は無くてはならない存在であることが分かります。

「窓」が本来持つ
「明るさの確保」「通風」「換気」などの役割は、
「窓」以外のものでも担えるようになりました。

 

しかしそれらの役割以上に、
私たちが日本人らしく暮らしていくための役割が
「窓」にはあるのではないかと思います。

 

by Horikawa