江之浦測候所

2018.12.7

江之浦測候所を拝見しに小田原まで行ってきました。
現代美術作家である杉本博司氏の構想期間10年、工事期間10年、計20年もの歳月も費やした美術館・展示施設です。

美術作品を飾るだけの美術館では無く、美術館自体を体感し、巡り、
自然と対峙する事でアートを感じる事が出来る美術館になっています。

敷地内にはいくつかの建築が点在されており、
その建築群を巡りながら体感していきます。
建築群に使用されている素材は近隣で得られる素材を中心に使われており、
建築群の工法は現在では継承が困難になりつつある伝統工法を再現しており、
この美術館を作る意義が、地域に対して根ざしている物でありながら
未来への産物として伝えられる美術館になっています。

建築群の中でも私のお気に入りは光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席という場所です。
しばらくの間何も考えずに目の前に見える景色をただただ眺めていたら、
ふと自分の意識が自然の中に投げ出される感覚になり、
目の前に広がる太平洋が近くに感じ、
耳には他の雑音は一切無く自然の音しか入ってこないと言う不思議な体験をしました。

江之浦候測所は「人類とアートの起源に立ち返る」というコンセプトがあります。
自然を感じる事自体がアートであり喜びである事を再認識させてくれた美術館でした。

 

by nomura