たたずまい
2018.12.21
心がひきつけられる風景に出会うことがあります。
美しい自然だけでも十分魅力的だと思いますが、
それだけでは何か足りないようにも思います。
ここに3つの風景をご紹介します。
これらは妻の実家のある石川県能登の風景です。
1つ目は、知り合いの陶芸家のアトリエです。
初夏の木々に包まれたゆるやかに曲がるアプローチの先に、
木造平屋のアトリエが慎ましく建つ風景です。
2つ目はコンビニの駐車場からみつけた家並みです。
雪をまとう切妻の屋根たちが、白の舞台で楽しそうに踊っているように見え、
過酷な雪国の人々の生活が楽しそうに見えた風景です。
最後は日本海でみつけたオブジェです。
これは「ぼら待ちやぐら」といって、江戸時代からあった原始的な漁法を伝えるものです。
下部に網が張られており、上部の人がボラが網にかかるのを待つものだそうです。
スピード社会の現代では考えられない、ゆったりした時間を感じさせてくれる風景です。
3つの風景に共通していることは、
ありふれた自然の中に人々の営みがあり、
その営みをささやかに包み込むモノがあるということです。
そのモノたちの控えめでいて凛とした「たたずまい」にひきつけられます。
そんな日常をやさしく包み、風景となる「たたずまい」のある家をつくっていきたいです。
by shiota