植田正治写真美術館

2021.4.30

鳥取県にある「植田正治写真美術館」
をご存じでしょうか。
田園風景が続く中に突如現れる
コンクリート打ちっ放しの建物は
インパクトがあります。

 
日本を代表する写真家である植田正治さんは、
砂丘や大空を背景に「演出写真」
と呼ばれる作品を撮られていました。
偶発的に起きた出来事を捉える
リアリズムとは反対のところにいながらも、
綿密に計算された構図の写真からは
家族への愛情やユーモア、
丁寧に創りこまれた故の奥深さを感じました。
「パパとママとコドモたち」という作品は
家族が砂丘でポーズをとる姿が愛らしく、
好きな作品の一つです。

 
こうして思い返すと、
私たちが日々建築を考えるときに
頭の中で想いを巡らせる行為にも、
似た感覚があります。
与条件である周辺環境を取り入れたり
隠したりしながら、陰影の加減や空間の余白、
窓辺の風景を探っていく設計行為は、
丁寧に綿密に構図を考えて撮影される
演出写真に近いものがあるかもしれません。

 
山陰の大自然と合わせて、
とても心地よい美術館でした。
次は快晴の日に綺麗な逆さ大山を見たいと思います。
 
Ogawa