普通のこと。

2022.6.24

先日立ち寄ったお店で、
「なくなりそうな世界のことば」
という本に出会いました。
 

 
世界で話されていることばは、
およそ7,000種類もあるそうです。
本の中では、
広い地域にまたがって多くの人、さまざまな文化の中で
話されていることばを「大きなことば」、
特定の地域・環境で生活している中で
用いられていることばを
「小さなことば」と表現されていました。
 
多くの人との間で使える大きなことばに対して、
小さなことばはネットや科学技術の発展とともに
徐々になくなりつつあるそうですが、
この本は、そんな「小さなことば」を集めて
一冊にまとめられたものです。
 
「ナティン nating」
パプアニューギニアの公用語、トク・ピシン語で、
「唯の、普通の、特別ではないこと」を
意味するそうです。
砂糖を入れない珈琲も、ナティン。
目的のない訪問も、ナティン。
 

 
夕方、家から見えた夕日がとてもきれいで、
遠くに見える夕日をぼーっと眺めつつ、
これもナティンと呼ぶのかなと思いながら、
日常生活の中には、たくさんのナティンが
隠れているのではないかと思いました。
 
ふと室内に入り込む風の心地よさや、季節の匂い、
自然の光の暖かさ、など。
 
ナティンということばによって、
何気ない日常のひと時が
当たり前ではないことに気が付きます。
当たり前のようで当たり前ではない、普通の幸せを
ちゃんと感じられる住まいを設計していきたいなと
思いました。
 
Saito