余白を内包する
2022.8.19
先日、内藤廣さん設計の紀尾井清堂を見学しました。
なんとこの建築、用途がない建築です。
用途がない状態で内藤さんの思いのままに
設計して欲しいという施主さんの要望だったそうです。
私も用途が決まっていない建築を見るのは
初めてのこと。
空間を体感してみて、思考空間のような場所で
ずっとこの場所に佇んでいたい気持ち、
思いに更けたい気持ちになり、
建築の空間自体の美しさをひしひしと感じました。
用途のない余白の空間によって
暮らしの豊かさに繋がったり、余白の空間が派生し
用途のある空間を彩る役割を果たしたり、
部屋名や用途はないけれど
その空間がある事によって豊かさの度合いが上がる…
用途のない空間は
そんな可能性を秘めた空間ではないかと思います。
住宅はそもそも人が住むための機能を
持ち合わせているため、用途が無いわけでは
ありません。
住宅では紀尾井清堂のように
建築全体ということは難しいですが、
住宅の中に用途のない余白の空間を
内包することは可能です。
現実問題、
土地に対しての大きさや予算が限られたなかで
用途のない空間をつくるのは難しい事です。
しかし廊下の幅をすこし広げてみたり、
LDKに吹き抜けを設えてみたり…
住宅でもちょっとした余白の空間を
作ることはできるのではないでしょうか。
単純に用途や部屋を当てはめていき
余った無駄な空間というわけではなく、
豊かさの度合いが上がる余白を内包した住宅。
そんな住宅を設計していきたいです。
Endo