貫入の音色

2023.2.3

あるお店に訪れた時のこと。
店内のスピーカーから流れる音色がすごく素敵で
店主にこの音は何なのかと尋ねたことがありました。
店主によるとその音は「貫入」の時の音を録音して
編集して作った音色だそう。
 
陶器を作る過程で起きる釉薬と素地の収縮率の違いにより
ひびの入ったような状態のまま固まることを
貫入というそうです。恥ずかしながら初めて知りました。
ただそのひびが入る時に鳴る「ピンピン」という
風鈴にも似た音がすごく心地よく
聞いていると心が安らぐ音でした。
実際に器として陶器を使うときには
貫入の音色は全く関係ないのですが、
出来るまでの過程があったことを知るとなぜだか
自然と愛着が湧いてきます。

 

 

こうした経験は陶器に限らずモノを作るときに
共通して言えるような気がします。
家をつくるときにも、
ご家族の暮らしイメージしながら打ち合わせをする。
どんな素材を使うか。
どんな窓にするか。
本を読む場所はどこか。
ごろんと寝転ぶタタミはいるのか。
どこから光が入ってくるのか。
たくさんの過程を経てつくるお家は
自然と愛着がわいてくるものです。
 
住み始めてからの素敵な暮らしを提供するのは
もちろんのこと、その過程も大切にしながら
一緒にお家づくりをしていけたらと思います。
 
Mori