裏側

2023.3.3

暮らしの中で毎日こなしていかなければいけない
家事仕事。
得意だったり苦手だったりは個人で違うとは思いますが、
面倒だなぁと感じてしまう家事が皆さんにもきっと
ひとつはあるのではないでしょうか。
 
夕食をすませ、あとはゆったり過ごして
明日のためにぐっすり眠るだけ。
そんな心地にすでになっているにも関わらず、
こなさなければいけない夕食の洗い物は
私にとって億劫な家事です。
 
唯一、この織部の器を洗っている間は違います。
 

 
お店でこの器を拝見した時、小さな頃から身近に
触れている織部の釉薬の色にとても惹かれました。
ふと手に取り裏側をみたとき、玉虫色に輝く色合いに
表とは違った美しさを感じました。
どうやら表の縁取りと同じ色を
裏一面に配しているようなのですが、
それだけで印象がぐっと変わってみえます。
 

 
「裏側がとても綺麗ですね」
そう店員さんへ声をかけると、
料理中や食事の間はなかなかみることがないけれど、
器の裏側は洗い物をする人にとって日常の景色。
そんな家事の間でも器を楽しんでもらいたくて
裏側も表情豊かにしている。
というのが作家さんの想いとのこと。
 
それからはこの器を洗うたびにこの話を思い出します。
器の向きによって輝きが違うように見えるので、
進んで手を動かし器の色合いを探るようにして
洗うことに楽しさを覚えます。
暮らしているからこそ気が付く小さな魅力に
ぐっときます。
 
Kimata