先にあるもの

2024.11.8

先日、豊田市美術館へ行きました。
 
1995年に開館し、多くの美術館、博物館を手がけた
谷口吉生氏が設計しています。
今回展示会で開催されていたのは
「エッシャー 不思議のヒミツ」です。
 

 
マウリッツ・エッシャーは
空間の構造や幾何学的なものに焦点をおいた
数学的な手法をもちいている作品が多く、
だまし絵でも有名な画家(版家)です。
 
有名な作品はいくつかありますが、印象に残ったのは「水たまり」という作品です。
 
足元の水たまりに反射した木々を描き、
目線を上げた先にある景色を一部だけ切り取って
見えない部分の連続性が表現されています。
版画かつ、シンプルな彩色でありながら
奥行きを感じられる作品でした。
 
あえて景色を切り取る手法は、
茶室や浮世絵などでも使われおり、
日本人の美の考え方、価値観と近いことから
受け入れやすいように感じます。
 

歌川広重
江戸百景 春|真崎辺りより水神の森内川関屋の里を見る図
国立国会図書館デジタルコレクションより引用

 
住まいをご提案するなかでも、限られた敷地のなかで
奥行きや広がりをどのように感じさせるのか
検討をします。
 
目にみえるものだけではなく、
見えない先のつながりまで設計に組み込めるよう、
心がけていきたいです。
 
Imamura